1991年から94年までの4年間、日本がアメリカを抑えて、世界一の政府開発援助国となったことはご承知のとおりです。しかし金額はあくまでも手段であって、その結果どのように世界に貢献したかを実証することが重要、という認識が日本政府に芽生えたのが1年ほど前の話です。それが1996年5月7日、パリにおける経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)で「新開発戦略」として採択されました。その内容は「2015年までに世界の貧困人口を半減させ、初等教育の就学率100%、乳幼児死亡率を3分の2に現象、健康最低基準と環境破壊の完全復旧を達成する。また2005年までに男女間の平等を実現する」という数値目標を新しく導入したのが特色です。国際舞台の大きな政策決定で、日本が初めてリーダーシップを発揮したことを、アメリカ開発庁長官も激賞したとのことです。6月末の主要国首脳会議(リヨン・サミット)にも、この目標は引きつがれる見込みです。
この日本政府のイニシアティブと全く独立して、私は1990年から始まった農林水産省委託調査でこの6年間、地球を七周し、36ヵ国、20の国際機関を訪問し、1400人の開発専門家と、600回の会議をもちました。その結果「食料」という新しい観点を入れ、環境・貧困の解決を含めた農業革命を2040年までに達成する提言を、世界のリーダー120人に発送したばかりです。これらが、どのように世界の反応を呼ぶかは今後の問題です。しかし、東西冷戦の終結したいま、地球が現在のような南北格差に耐えられないことが明確になった以上、このような目標以外の選